さくらの日

もう、とっくに日は過ぎてしまったけど、今日は「さくらの日」だったらしい。
そういえば、さくらはもう咲いていた。

花びらが舞う。
僕はその様子を目に焼き付ける。
僕は自転車をこぎながら目を閉じる。
花びらは瞼の奥でリズムを刻む。

飼っていた犬が、野うさぎを噛み殺したとき、僕たちは野うさぎの体に手を触れて消えていく体温を感じた。

飛行機が離陸したとき、僕の感覚は飛行機についていけなかった。その速度を僕はリアルに想像できなかった。
飛行機が着陸したとき、僕は自分が変わってしまうんじゃないかって不安になった。
あなたは笑って、そんなことは当然だと言った。
着陸するたびに、私たちは違う時間、違う空間に降り立つのよ。

熱膨張が収縮に変わる。

僕はあの野うさぎをよく庭で見かけていた。
あなたは「違う」と言った。
僕は「そうだ」と言った。

エネルギーは常に形を変える。

その木の下で、僕はあなたの温もりを感じた。
その木が切り倒されたとき、僕らは不可侵の領域を失った。

花びらは地面からひらひらと舞い上がり、枝についた小さな花に戻ってゆく。

終わりがある事をあなたは知り、僕は否定し続けた。

素粒子が時間を超越する。
僕とあなたはまだつながっているのだろうか?